現在、日本では社会保障制度のひとつとして「公的介護保険制度」があります。
40歳以上の人は、すべて、公的介護保険制度に加入することになっています。
では、この公的介護保険で介護状態になった場合に掛かる費用を、全てカバーできるのでしょうか?

〇日本の介護状況

介護を必要とする方は、年々増加し、それに伴う家族の経済的負担は決して少なくありません。
65歳以上の約5.3人に1人が、要介護(要支援)認定者となっており、介護は誰もが抱える身近な問題となっています。

〇介護が必要な期間

「日本は長寿国」と言われるように、平均寿命はどんどん延びてきています。
ですが、生きている間、ずっと健康でいられる訳ではありません。
平均寿命と健康寿命
つまり、生きている期間「平均寿命」と、健康でいられる期間「健康寿命」とでは差ができてしまい、長生きするほど、介護の不安は避けることのできない問題です。
また、介護期間の平均は約4年7カ月、10年以上にわたって介護を必要としている方は約7人に1人となっています。

〇介護に掛かる費用

介護が必要となった場合、住宅のリフォーム・施設入居費などの初期費用はもちろん、毎月継続して費用がかかってきます。

平均額
初期費用(一時的な費用) 約69万円
毎月の介護費用 約7.8万円

生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」
では、平均介護期間である約4年7カ月の期間で計算すると69万円(初期費用)+7.8万円×55カ月(4年7カ月)=498万円となります。
よりよい介護サービスを受けたり、介護期間が長引くほど費用はかかってしまいます。
上記の498万円は、あくまでも平均値ですので、498万円あれば足りると思ってしまわないように注意しましょう。

〇公的介護保険制度

日本では、40歳以上になると公的介護保険への加入が義務付けされています。
加入者が要支援・要介護認定を受けた場合、公的介護保険から保障を受けることができます。(40歳~64歳の方は「所定の特定疾病」を原因とする場合のみ)
公的介護保険制度での保障内容は、主に3つに分けられます。

・介護サービス費用が1割負担(所得によっては2割または3割)
一般的に介護が必要になった場合、介護施設に通ったり、入所・居住したりと色々な「介護サービス」を受けます。
公的介護保険では、原則的に介護サービス費用の自己負担が1割~3割となっており、残りの9割~7割は公的介護保険から、サービス提供者に支払われる仕組みになっています。
ただし、介護状態の重軽度に応じて、自己負担で利用できる、月ごとの上限額が設けられており、上限額を超えた部分は全額自己負担となります。
【介護サービス費用の上限額】

介護区分 上限額
要支援1 50,320円
要支援2 105,310円
要介護1 167,650円
要介護2 197,050円
要介護3 270,480円
要介護4 309,380円
要介護5 362,170円

生命保険文化センター 公的介護保険でうけられるサービスの内容は? 参照
・高額介護サービス費制度
基本的に介護サービス費用の自己負担は、1割~3割となりますが、自己負担額が高額になった場合、医療費の「高額療養費制度」と同様に「高額介護サービス費制度」が設けられています。
世帯・個人の収入によって、介護サービス費の自己負担額に上限が定められていますが、その限度額を超えた超過分が「高額介護サービス費」として払い戻されます。
自己負担額の上限は(厚生労働省リーフレット 月々の負担の上限が変わります。)を確認してください。
ただし、以下のような費用は高額介護サービス費の対象となりません。
・特定福祉用具購入や住宅改修にかかる負担
・施設における居住費(短期入所の場合は滞在費)および食費
・理美容代などの日常生活に要する実費
・生活援助型配給サービスにかかる負担等

・高額介護合算療養費制度
高額介護合算療養費とは、毎年8月から翌年の7月の1年間、同じ世帯でかかった医療費と介護費を合算し、所定の上限額を超えていたら、その超過分を払い戻してもらえる制度です。
所定の上限額は(厚生労働省 高額介護合算療養費制度について)をご確認ください。

〇民間保険会社の介護保険の必要性

上記では、公的介護保険制度について、ご紹介してきました。
公的介護保険でカバーできる介護サービス費用は大きいです。
介護サービス
しかし、公的介護保険ではカバーしきれない、「日常生活費」や「住宅改修費・福祉用具費」といった介護サービス費用以外の諸費用は決して小さな額ではありません。
また、公的介護保険制度が対象となる方にも、条件があることを忘れてはいけません。
介護が必要になった場合、65歳以上であれば公的介護保険を利用して介護費用を抑えることができますが、40歳~64歳までの方は対象の特定疾病を原因として、要支援・介護認定を受けた方しか、公的介護保険制度の対象になりません。
つまり、64歳までの期間は、ケガや事故・所定の特定疾病以外で介護状態になったとしても、介護費用はすべて自己負担になるのです。
若年層の介護
では、働いている期間に介護状態になってしまったらどうでしょうか?
フルタイムで働くことができなくなるかもしれませんし、仕事を辞める必要がでてくるかもしれません。
退職届
もしものことを考えて、公的介護保険制度でカバーできない部分を、介護保険で補ってみてはどうでしょうか?

〇介護保険を選ぶ時のポイント

保険会社の販売している、介護保険の商品は数多くあります。
介護保険の商品の、選ぶポイントを、ご紹介したいと思います。

要支援・介護認定は症状の重軽度で区分されています。
要支援は1~2級、要介護は1~5級までの区分があり、数字が大きい程、症状が重度となっています。(厚生労働省 要介護認定はどのように行われるか参照
現在は、多くの保険会社が給付対象を要介護2以上としていますが、中には要介護1以上とハードルを下げている保険会社もあります。
保障内容だけみると、要介護1以上で給付されるのが嬉しいですね。
ですが、ここにも落とし穴があります。
それは、要介護1以上の認定で介護保険金が給付されるとしても、介護認定を受けること自体、ハードルが高いことです。
商品の中には、介護認定ではなく、保険会社の定める所定の状態(要介護2相当の状態など)になれば給付される介護保険もあります。
これだと、64歳以下でも介護認定を受けることなく、介護保険金を受け取ることができます。
このように、介護保険金だけ考えて介護保険を選ぶのではなく、どのような形で給付されるのかを考えるのも大事なポイントです。

〇まとめ

介護は決して他人事ではなく、誰にでも起こりえるリスクの一つです。
公的介護保険を利用することで、自己負担額を少なくすることはできますが、65歳以上や所定の特定疾病を原因とするといった条件がどうしてもついてきます。
公的介護保険制度を受けることが難しい年齢の方や、預貯金や他の資産で介護費用をカバーできない方は、保険会社の介護保険を検討してみてはどうでしょうか?
介護保険を検討するにしても、年齢や職業、家族構成や、ご自身の介護状態になった時の希望など色々なこと考えないといけませんので、大変そうだなと感じた方は一度、プロのファイナンシャルプランナーに相談してみてはどうでしょうか?


 

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