今までに、病院の先生や書類などで、過去や現在の健康状態について質問された経験はないでしょうか？
過去や現在の病気やケガは、「既往症」と「現症」とに分類されます。
もう既に治癒した病気を「既往症」、現在も治療が続いているものを「現症」といいます。

今回は、既往症と現症についてご紹介します。

〇既往症・現症とは

【既往症】
既往症とは、過去にかかった病気を示す言葉で、すでに治癒した病気のことを言います。

例えば、病院に定期的に通ったり、ある程度の期間、継続して診察や治療を受けたりした病気、手術を受けた病気などが該当します。
病院を受診した場合、過去の既往症による手術、治療の経過などが現在の健康状態や病気の発症、治療内容などに影響を与える可能性があるため、必ず聞かれる項目の１つとなっています。

【現症】
既往症は、過去にかかった病気や手術を指すのに対し、「現症」は現在かかっている病気やケガを指します。

「現在かかっている病気やケガ」と言っても、風邪など一時的な病気は含まず、定期的に病院を受診して、治療や検査を受けているなど、一定の期間以上、何らかの形で治療を受けている症状が対象になります。
では、「持病」は「既往症」・「現症」どちらなのでしょうか？
高血圧、高脂血症、糖尿病などは、過去から現在に至るまで長期間、定期的な診察や治療を受けている方が多くいます。
このような、慢性的・断続的に長期にわたり患っている病気を「持病」といいます。
「持病」は、慢性的・断続的とはいえ、過去から現在まで治療が続いている状態なので「現症」と考えて問題ないです。

〇病気を隠すとどうなる？

既往症や現症について問われた場合、事実を告げなかったらどうなるでしょうか？
既往症や現症を隠すリスクについて考えてみましょう。

【病院で既往症・現症を伝えなかった場合】

病院で診察を受ける際は、既往症・現症について問診票に正しく記載する必要があります。

既往症・現症を意図的に隠したり正しく伝えなかったりすると、正しく伝えた場合と比べて診断に時間を要したり、適切な診断につながりにくくなったりする可能性があります。
他にも、過去に処方された薬で副作用があった場合も診断前に伝えることが大事です。
現症の場合、現在服用している薬を伝えることで体への悪影響を防ぐことができます。（薬にも飲み合わせが存在するので）

【就職時に既往症・現症を伝えなかった場合】

就職や転職をする際、履歴書の健康状態欄に業務に支障をきたす可能性がある既往症・現症があることを知りつつ報告しなかったり、偽って報告した場合、入社後に問題になる可能性があります。
例えば、毎月2回、勤務時間中に通院が必要だったことを伝えずに入社してしまったらどうでしょうか？
一般的には、一定期間勤務すれば有給休暇があるかもしれませんが、職場によっては、自由に休暇を取りにくいかもしれません。
また、入社後に業務が遂行できないような重大な既往症・現症が発覚した場合、解雇の対象になる可能性もでてきます。
入社する前の段階で伝えておくことで、入社後に周囲からのフォローが受けやすくなるかもしれません。

【生命保険加入時に既往症・現症を告知しなかった場合】

生命保険の多くの商品は、加入する際に告知をします。
「告知」とは、既往症・現症を含む健康状態などについて保険会社に報告することを「告知」といいます。
加入する商品や、保険会社によって告知の内容は変わりますが、告知での質問事項に事実を報告する必要があります。

既往症や現症の事実を隠して告知した場合、「告知義務違反」となり、保険契約が解除されたり、万一の際の保険金や、病気やケガで入院したときの給付金が受け取れなかったりする可能性があります。

〇まとめ

今回は既往症・現症についてご紹介してきました。
病院や就職、生命保険など既往症や現症があれば、伝えなければいけない場面は、いくつも存在します。
もしかすると、既往症や現症を伝えてしまうと、就職や生命保険に加入するのに不利になる可能性もあります。
しかし、既往症や現症を隠したことで発生するリスクを考えると、事前にしっかりと伝えることが、自分を守ることにも繋がることを知っておきましょう。
また、病院でも同じことが言えるかと思います。
特に既往症などは過去になった病気のことなので、伝える必要もないかなと考えてしまいがちですが、既往症は病気の診断や治療の重要な手掛かりになる可能性があるため、既往症を伝えないと病気の診断や治療が遅れたりするリスクが高まります。
既往症や現症は個人情報なので、場合によってはあまり公にしたくない思いもあるかと思いますが、事前に正しく伝えることは、結果的に自分を守ることになるので、問われた場合に正しく答えられるようにしましょう。

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