自動車の保険は、強制的に加入が義務付けられている自賠責保険に対し、自動車保険は任意で加入することになっています。
自賠責保険は、補償が対人賠償に限定され、賠償金額にも制限があるため、多くの方が追加で自動車保険(以後、任意保険とします)に加入しています。
多くの方が任意保険に加入している一方で、「無保険」の状態で自動車を運転している方も一定数います。
今回は、無保険の自動車と事故をした場合にどのようなリスクがあるのかを紹介します。
〇任意保険の加入率
まずは、任意保険の加入率から見ていきます。
そもそも任意保険は、損害保険会社が取り扱う商品から加入するか、農協や生協など生活協同組合が掛金を集める自動車共済で加入することになります。
2022年度の全国の自動車数がおよそ8,217万台に対し、7,289万台の自動車が任意保険に加入しているので加入率が88.7%となります。(損害保険料率算出機構 自動車保険の概況 2022年)
つまり、1割の人は何かしらの理由で任意保険に加入していないことになります。
〇任意保険の加入って必要?
自動車保険は任意保険なので、加入するかどうかは個人の判断に委ねられます。
強制加入である自賠責保険は、任意保険である自動車保険と比べると補償範囲が狭く、対人賠償に限定されています。
〈自賠責保険の補償範囲〉
補償の範囲 | 支払限度額(1名あたり) |
傷害(治療関係費、休業損害、慰謝料) | 最高120万円 |
後遺症(逸失利益、慰謝料など) | 最高4,000万円 |
死亡(葬儀費用、逸失利益、慰謝料など) | 最高3,000万円 |
上記内容はすべて、自身で運転している際に、誰かを死傷させてしまった等の「相手方への補償」なので、対人事故に限定されています。
過去の交通事故による賠償額では、数千万~数億円と高額な賠償命令が出されたケースも多くあります。
その為、自賠責保険にしか加入していない場合は、その負担を背負う必要がでてきます。
また、自賠責保険は対人補償に限定されている為、ガードレールや電柱にぶつかるといった物損事故に対して補償されず、高額な賠償金を支払うことになるでしょう。
〇事故の相手が無保険だった場合
事故相手が任意保険に未加入といった場合、「無保険」となります。
無保険の自動車事故に巻き込まれた場合、示談交渉がすんなりと終わるということはあまりなく、賠償金を払ってもらえないということが往々にしてあります。
その時に、対応できる方法として、自分が加入している任意保険があります。
【人身傷害保険と搭乗者傷害保険】
加入している任意保険に、人身傷害保険や搭乗者傷害保険を付帯していれば、自身や同乗者の死傷について補償を受けることができます。
契約時に設定した保険金額を限度に、治療費や休業損害などの実損額が過失割合に関係なく支払われます。
また、人身傷害保険、搭乗者傷害保険ともに等級に影響がでない補償なので、更新時に等級による保険料の変動を気にする必要がありません。
【車両保険】
自身の自動車に損害が発生した場合は、保険金額を上限として車両保険から補償を受けることができます。
自賠責保険には対物賠償がないので、事故相手から賠償を得られない場合は自腹で修理をするか車両保険を使う必要があります。
また、車両保険は使うと、更新時に等級が下がり保険料があがります。
ただし、自身に過失がないという場合には、「無過失事故特約」があれば車両保険を使ったとしても等級に影響しません。
「無過失事故特約」は自身に過失がない、もらい事故で、事故相手が確認できる場合といった条件を満たした場合に、等級に影響することなく車両保険を使うことができる特約です。
この特約は多くの場合、自動で付帯されますが、任意付帯となっていることもありますので確認しておきましょう。
また、この特約は相手の自動車が特定される必要があるので、当て逃げなどの相手が分からない場合には適用されません。
〇任意保険の補償内容は大丈夫?
自動車を運転される多くの方は、任意保険に加入していますが、任意保険に加入しているから安心と思っていませんか?
私は最も大事なのは、補償内容だと思います。
例えば、対人・対物を無制限にされている方は多いですが、人身傷害保険の補償はどうでしょうか?
私の普段の営業活動で、設定金額を3,000万円や5,000万円に設定しているのをよく見かけます。
もし事故をした相手が「無保険」だと、ご自身の任意保険に頼る必要があります。
事故によって、重大な後遺症が残ってしまったらと考えてみてください。
人身傷害保険の金額が3,000万円や5,000万円で本当に安心できますか?
対人・対物含めて人身傷害保険も無制限にし、よくCMやチラシなどで宣伝している「トリプル無制限」にすることをお勧めします。
また、歩いている時に自動車事故にあってしまい、その相手が無保険だったらどうしますか?
この場合、相手が無保険なので十分な補償は期待できません。
実は、人身傷害保険の対象範囲を広げておけば、このような場合でも、ご自身の任意保険で補償を受けることができます。
人身傷害保険の対象範囲を広げることで、契約自動車での交通事故だけではなく、歩いている時の交通事故や自転車などで転倒した時のケガまで補償してくれるものもあります。
このように人身傷害保険の対象範囲もひとつ重要なポイントになってきます。
他にも、示談交渉が進まない場合や、裁判を起こすという場合には弁護士費用特約などがあれば、弁護士に相談・依頼ということも考えることができます。
〇まとめ
任意保険の普及率は全体の88.7%と、10人に1人は任意保険に加入していない現状です。
その為、ご自身が事故にあった時、相手が「無保険」だったということは十分に考えられます。
自動車保険の任意保険は、一般的な事故も含めて、相手が「無保険」といった想定しにくい事故でも補償をしてくれます。
まずは既に加入している、任意保険の補償内容を、プロの保険屋さんに相談してみてはどうでしょうか?
補償の内容を把握することで、安心することができるかもしれませんし、逆に足りないと感じたら補償を足す必要があるかもしれません。
もしもの場合に備えて、納得のいく補償内容にしましょう。
三重県四日市市にある、アニマート株式会社では、保険の無料相談や見直しをお客様の目線に立って、考え、提案する保険代理店です。
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