生命保険に加入されている方の中で、「私の支払っている保険料って、全て保険会社の儲けになるんじゃないの?」と思っている人もいるかもしれません。
実は、これは大きな勘違いです。
保険の考え方には「収支相等の法則」という考えがあります。
今回は「収支相等の法則」についてご紹介していきます。

〇収支相等の法則

生命保険の収支では、集めた保険料(収入)と、支払った保険金(支出)が等しくなるということが基本となります。
これを「収支相等の法則」といいます。
保険料と保険金・保険相談
収支相等の法則は

保険金×死亡者数保険料×契約者数

で計算することができます。
例えば、40歳の男性1,000人が、それぞれ1,000万円の死亡保険(保険期間1年)に契約したとします。
仮に、このグループの死亡確率が1,000人のうち2人だとすると、支払われる死亡保険金の総額は

1,000万円×2人(1年間で死亡した人)=2,000万円(死亡保険金合計)

となります。
この2,000万円を、契約した1,000人全員で平等に分担すると、一人当たりの保険料は

2,000万円÷1,000人=20,000円

となります。
よって、保険料の合計は

1,000人×20,000円=2,000万円(保険料総額)

となります。
このように、保険料総額と保険金総額が同額の2,000万円と等しくなる法則が「収支相等の法則」です。
実際は、年齢があがるにつれて死亡リスクは高くなりますし、同じ年齢でも男性と女性では死亡率が異なることが判っています。
年齢別保険料・保険見直し
つまり、負担する保険料を、すべての人が均等に同じ金額にしてしまうと、不公平になってしまいます。
その為、生命保険会社では、死亡確率を年齢別・男女別に計算した「生命表」をもとに、保険料が公平になるように計算しています。
また、他にも保険料の違いには、大きく3つの要素が関係してきます。
ですが、収支相等の法則を知ってもらうと、1つの疑問がうまれませんか?
保険会社によって、保険料が違うのはなぜ?」です。
保険料なぜ・ファイナンシャルプランナー

〇3つの要素

保険会社の保険料には、3つの要素が関係しています。
それが「予定死亡率」・「予定利率」・「予定事業費率」です。

・予定死亡率
予定死亡率とは、過去の統計から性別や年齢別の死亡者数を予測して、将来の保険金などの支払いに充当する場合の必要額を算出するときに求められる死亡率のことです。
簡単にいうと、契約期間中に死亡する人がどれくらいいるのかということです。
また、保険に加入する際は、保険会社に現在の健康状態を報告する「告知」をしています。
保険会社では、「告知」(生命保険で大事な告知 参照)をしてもらうことで、比較的健康な人を集めることで、予定死亡率を下げて保険料を安くしています。

・予定利率
予定利率とは、保険会社が運用するときに約束する利率のことで、保険会社が保険契約時に決めています。
保険会社は、契約者から受け取った保険料を、どれくらいの運用利回りで運用できるのかを予測して、保険料を設定します。
運用も、国債などの「安定」なものも行われておりますが、他にも皆さんが見たことがあるような、○○生命ビルといった不動産や国内外の株式等での運用もしています。
予定利率・保険見直し
保険会社も、ある程度の運用利益を見越していますので、その分、保険料も安くなります。

・予定事業費率
保険会社は、保険料収納、契約の維持管理などの事業を運営していくうえで必要な経費をあらかじめ見込んで保険料の中に組み入れています。
この運営にかかる諸経費の割合が予定事業費率です。
この部分は保険料に加算される部分です。
その為、運営費を抑えるといった企業努力をして、保険料を安くするようにしています。

〇まとめ

収支相等の法則から考えると、保障に対しての保険料は、各社同じになります。
しかし、保険料は各保険会社が、3つの予定率をある程度想定し組み込まれた保険料になるので、保険料にばらつきが生じます。
同じような保障内容でも、保険会社によって保険料が高い・安いがあるのは、、まさしく企業努力の結果といえるのかなと思います。
これから保険を検討される方は、いくつもの保険会社を取り扱いができる乗合代理店に相談してみると、同じような商品でも保険料が高い・安いが分かって面白いかもしれません。


 

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