世間では、2020年5月20日時点で、多くの地域で緊急事態宣言が解除されています。
現状は、新規感染者も少なく、落ち着いてきているとはいえ、経済に与えた打撃は大きく、また、国からの支援策もすべてが上手く行き届いている現状ではありません。
一部の支援策は、すでに給付も開始されているので、もう申請済みの方など、ご存じの方はいらっしゃると思いますが、改めて、新型コロナウィルスに対する支援策―中小企業編―として、中小企業向けの支援策の中でも、世間に大きく取り上げたられている、支援策をいくつかご紹介していきます。

〇給付金

・持続化給付金

中小法人・フリーランスを含める個人事業主を対象にした、持続化給付金があります。
給付の条件は、令和2年12月までに売上が前年同月比50%以上減少した事業者が対象で、法人は200万円以内、個人は100万円以内の給付額となります。

【給付額】 前年の総売上-前年同月比50%月の売上×12ヵ月

この持続化給付金は、課税対象になりますので、給付後に黒字に転じる企業は、手放しでは喜べないですね。
申請自体は、オンラインでも申請できますので、中小企業庁HP「持続化給付金」を参照して、申請してもらえればと思います。

〇助成金

・雇用調整助成金

雇用調整助成金とは、経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な雇用調整を実施することによって、従業員の雇用を維持した場合に助成の対象となります。
現在は、新型コロナウィルス感染症にかかる特別措置として、対象になる条件や、助成額が大きく緩和されています。
通常の雇用調整助成金との比較として、特別措置で緩和されている要件を、いくつかご紹介します。

雇用調整助成金(通常) 雇用調整助成金(特別措置)
対象事業者 経営上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主 新型コロナウィルス感染症の影響を受ける事業主(全業種)
経済状況 中小企業:2/3
大企業 :1/2
中小企業:4/5
大企業 :2/3
※解雇等を行わない場合
中小企業:9/10もしくは
10/10
大企業 :3/4
支給限度日数 1年100日、3年150日 同左+緊急対応期間(4/1~6/30まで)
対象従業員 雇用保険加入6か月以上 雇用保険加入6か月未満
雇用保険未加入
60%超の
休業手当
全額助成(10/10


他にも緩和措置がとられていますので、詳しくは厚生労働省HPを参照してください。

雇用調整助成金の助成額を簡単に、ご紹介します。
まずは、60%の部分ですが、この60%に助成率を乗した額が、助成対象になります。(ただし、1人1日15,000円が上限)
助成率は、新型コロナウィルスの影響で、従業員を解雇等したかどうか、各都道府県の休業などの要請(該当業種に限る)に協力したかどうかで変化します。
中小企業の助成率をみると、解雇等をした場合4/5、しなかった場合9/10となり、解雇等もせず要請に協力した場合10/10となります。
残りの40%の部分は、特例措置により10/10の助成となります。
休業要請の対象とならなかった企業でも休業手当を60%を超えて100%支給した場合でも、企業負担は6%のみとなります。

●各都道府県の休業要請に協力した場合
雇用調整助成金(休業対象)
●各都道府県の休業要請の対象外企業の場合
雇用調整助成金(全事業者)
計算の基準となる月収は、従業員一人一人として計算はせず、従業員全体の平均額が基準となります。

今回の新型コロナウィルスの影響拡大によって、雇用調整助成金が広く知られることになりました。
特別措置がとられ、緩和された雇用調整助成金は、本来の雇用調整助成金に比べると、あらゆる面で緩和されています。
ですが、本来の雇用調整助成金制度は、事前に休業計画を作成し、提出・認可と申請だけで、時間がかかってしまうものなのです。
新型コロナウィルスは、現在のところ、収まりつつある傾向にあります。
しかし、今後、第二波、第三波が来ないとは限りませんし、仮に来たとしても、また同じような措置が取られるとは限りません。
今後の為にも、どういった時でも対応できるように、事前準備しておくのもいいかもしれません。

・有給休暇取得支援助成金

有給休暇取得支援助成金は、新型コロナウィルスの影響で、小学校等の臨時休校や感染した恐れのある、お子さんの世話をするため、従業員に年次有給休暇とは別に、有給休暇を取得させた事業主に対して、助成金が支給されます。
支給される助成額は、休暇を取得した時期によって助成額が変わります。
基本、賃金全額支給となりますが、令和2年2月27日から3月31日までの期間に取得した休暇は、上限額8,330円となり、4月1日から9月30日までの期間に取得した休暇は、上限額15,000円となります。
また、過去に遡って申請できますので、過去に取得した有給休暇で該当するものもあるかもしれません。
小学校臨時休校の支援助成金

〇貸付金

貸付金に関しては、売上高の減少率や業種によって、貸付が多く分かれますので、今回は注目度の高かった資金繰り支援を紹介します。

・セーフティネット保証5号

セーフティネット保証制度は、1号~8号まで存在し、それぞれの要件に該当する場合に貸付を受けられる制度です。
セーフティネット保証5号の要件は、前年同月からの売上高5%以上減少かつ「全国的に業況が悪化している業種を営む」場合とあり、本来は限られた業種のみが受けられる貸付です。
また、仕入価格の高騰(20%以上)についても対応しています。
今回の新型コロナウィルスの影響で、限られた業種が緩和され全業種へと変更されました。

【概要】
・借入債務の80%を信用保証協会が保証
・2.8憶円(一般保証の2.8憶円とは別枠。セーフティネット保証4号と共有)
・要件を満たせば保証料・金利ゼロの対象

・危機関連保証

危機関連保証とは、内外の金融秩序の混乱などによって、大規模な経済危機や災害等による信用収縮への対応として、実際に売上高等が減少している中小企業者を支援するための措置とあります。
申請基準は前年同月からの売上高15%以上減少していることです。

【概要】
・借入債務の100%を信用保証協会が保証
・2.8憶円(一般保証の2.8憶円とは別枠)
・保証料・金利ゼロの対象

・セーフティネット保証4号

先程、ご紹介したセーフティネット保証5号とは該当理由が違って、突発的災害(自然災害等)の発生に起因して売上高等が減少している中小企業を支援するための措置です。
本来のセーフティネット保証4号の対象は、自然災害などあった地域に限定されますが、緩和措置として限定地域から全国へと変更されました。
貸付は、前年同月からの売上高20%以上減少が条件となります。

【概要】
・借入債務の100%を信用保証協会が保証
・2.8憶円(一般保証の2.8憶円とは別枠。セーフティネット5号と共有)
・保証料・金利ゼロ

緊急支援セーフティネット
今、ご紹介した3つの貸付は信用保証協会が行っているもので、一般保証・危機関連保証・セーフティネット保証を併用することで、最大8.4憶円の貸付が受けれます。
他にも、日本政策金融公庫などでも貸付を行っていますので、中小企業庁HPを参照していただければと思います。
また、現在は借換えが可能となる制度もありますので、気になる方は最寄りの民間金融機関各信用保証協会へ相談してみてはどうでしょうか?


今回は、新型コロナウィルスに対する支援策―中小企業編―としてご紹介させていただきました。

メディアなど限定された情報源では、知りえなかったことが多くあるなと感じましたが、支援策の内容は常に変わり続けるので、頻繁にチェックしておくことも必要かと思います。

また、今回注目された、助成金や貸付金も以前からあった内容を緩和したに過ぎません。
本来、申請するには各書類や、社内規則の取決めなどが必要になります。
今後、もし新型コロナウィルスの第二波や第三波が訪れた時に、どういった支援策になるかはわかりません。
今回の機会に、ぜひ1度、準備をしてみてはどうでしょうか?

企業に与えた、新型コロナウィルスの影響は計り知れませんが、事業主の方に有益な情報を発信できるのもファイナンシャルプランナーの役割だと思います。
不安を抱えている事業主の方は1度、プロのファイナンシャルプランナーに相談してみてはどうでしょうか?


 

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