人生における、結婚や出産、住宅購入など大きなライフイベントに掛かる、お金の事を心配される方も多いでしょう。
また、これから老後を迎える方は、老後の生活資金も気になるところです。
このような不安に対応するのに「お金を貯めないと」と思っている方も多いのではないでしょうか。
ですが、現在は低金利時代と言われているように、メガバンクの普通預金金利は0.001%と、大変低い金利となっています。
この金利は、100万円を1年間預けたとしても、普通預金では10円の利息しか得られません。
これでは、一生懸命節約をしてお金を貯めたとしても、増やすことは難しいでしょう。
お金を貯めなければと感じている方は、節約するだけでなく、資産運用でお金を「ふやす」ことも考える必要があるのではないでしょうか?
今回は、資産運用の考え方や、どんな方法があるのかを前編、後編に分けてご紹介します。
〇お金を「3つの財布」に分ける
まず、資産運用で考えたいのが、お金を使う目的で「3つの財布」に分けて、それぞれの目的や運用期間にあった金融商品で運用することです。
いつ、何の目的で使うお金なのかを明確にすることによって、いつまで運用できるのかが把握しやすく、運用する商品も選びやすくなります。
・1つ目の財布
1つ目の財布は「生活資金」です。
食費や生活必需品、住居費など日常の生活にかかるお金を入れる財布なので、いつでも引き出すことができる流動性のある商品に置いておきましょう。
流動性のある商品として、銀行の普通預金や郵便局の通常貯金が挙げられます。
目安として、生活費の2~3ヵ月分くらいを準備しておくことが望ましいです。
・2つ目の財布
2つ目の財布は、使途の決まっているお金です。
結婚資金や子供の進学資金、住宅購入の頭金などの使い道が決まっていて、ある程度金額も決まっているお金を入れる財布となります。
このお金は、使い道が決まっているので減らすわけにはいきませんので、ポイントとしては安全性が大事になります。
そうなると、定期預金や、個人向け国債といったような金融商品になってきます。
・3つ目の財布
3つ目の財布に入れるお金は、余裕資金や老後資金といった、しばらく使わないお金です。
このお金は、使う予定がない、あるいは15年~20年以上先に使うお金ですから、長期間運用できるお金です。
そうすると、外貨預金や投資信託といった、「収益性」のある金融商品を選ぶことが大事になってきます。
このように「ふやす」運用では、なるべくリスクを抑えながら、収益を積み上げていく安定運用を目指しましょう。
〇老後の生活資金っていくら?
これまでは、お金の使い道を分け、それぞれの目的に合った金融商品で運用する
ことが大事だとお伝えしてきました。
ここでは、多くの方が気にされていると思われる、老後の生活資金について考えたいと思います。
生命保険文化センターによると、老後の夫婦で最低限な生活費として約22万円というデータがあります。
この金額は、本当に生活するだけの費用です。
しかし、老後となると旅行や、お孫さんのお小遣いをあげたりと生活費以外に掛かる費用もあるかと思います。
このような「ゆとりのある老後の生活費」と考えると、約34万円が必要と言われています。
老後の生活費の準備資金を計算する為に、「平均余命」が大事になってきます。
〇平均余命
平均余命とは、ある年齢の方が、あと何年生きられるかというものです。
厚生労働省のデータ(厚生労働省 主な年齢の平均余命 参照)を見ると、例えば65歳男性の平均余命は約20年なので85歳、女性なら約25年なので90歳となっています。
では、上記のデータで65歳から、ゆとりのある生活を送るといくらかかるでしょうか。
夫が85歳、妻が90歳まで生きたとすると、65歳からの生活費は
①夫婦2人の期間
34万円×12ヵ月×20年間(男性の平均余命)=8,160万円
②妻1人の期間(妻だけの生活費は夫婦の生活費の7割と言われています)
23万円(34万×0.7)×12ヵ月×5年間=1,380万円
合計 8,160万円+1,380万円=9,540万円
このように、ゆとりのある老後を送るには、9,540万円の資金が必要になるのです。
しかし、この資金の全てをご自身で準備しなければいけないというわけではありません。
この金額から、老後にもらえる公的年金を差し引くことができます。
〇老後の公的年金
現在の年金制度(専業主婦がもらえる年金って?―前編―)がこのまま続くと仮定すると、例えば夫が40年間会社員として厚生年金に加入していたとします。
妻は結婚するまでは会社勤めで、結婚後は専業主婦だったとし、老後にもらえる公的年金が夫婦で約22万円だったとします。
「ゆとりある老後の生活費」を34万円とすれば、差額の12万円が毎月不足することになります。
夫が亡くなった後は、夫が受け取っている公的年金が遺族厚生年金に変わります。
妻の公的年金と合算して月13万円の支給があったとすれば、妻だけの生活費23万円の差額の10万円が毎月不足します。
この金額を上記の計算式にあてはめると
①夫婦2人の期間
12万円×12ヵ月×19年間=2,736万円
②妻1人の期間
10万円×12ヵ月×5年間=600万円
合計 2,736万円+600万円=3,336万円
実際は、会社員の方で退職金がある人、自営業の方で厚生年金のない人と、人それぞれこの金額は違ってきます。
〇まとめ
今回は、お金を使う目的に合わせた金融商品で運用すること、老後の生活費についてご紹介しました。
現在の低金利時代に銀行に預けていてもお金は増えません。
老後の生活費は一般的に大きな金額を準備することになりますので、資産運用でお金を「ふやす」ことを考えることも必要かと思います。
「資産運用の重要なポイント―後編―」では資産運用の具体的な商品や、資産運用のリスク軽減についてご紹介します。
この記事を読まれた方が、少しでも早く老後の準備の仕方に気づいていただければと思います。
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